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On the Day Project 1st March / RUNIT dome

On the Day Project 1st March / RUNIT dome
a view of RUNIT Dome

2006/11/02

No.15 On the Day Eve、その日の準備


「ブラボー」と名付けられた史上最大の水爆実験は、1954年3月1日ビキニ環礁で行われた。 第五福竜丸はじめマーシャルや世界に放射能被害を拡散したその実験から50年後のその日、2004年3月1日がOnTheDayである。
その事件と歴史の象徴として、マーシャルに造られた核実験の遺物であるルニット・ドームを捉える。前日の今日は、その日の準備だ!。

中ハシ克シゲがその日に何をするかと言えば、カメラを手持ちで、露出(絞り・シャッター)もピントも固定して、ファインダーを覗き、つながりを確認し、カメラを上下(腰を折って)させてピントを合わせながら12時間、彼の体力・気力も映しつつ、日の出から日没までドームのコンクリート表面を「接写」するのである。

撮影範囲は頂上部を南北に約3m×15m、それを4×36、合計144に分けたグリッドそれぞれを36枚撮りフィルム1本で撮影する。 合計5000枚以上、サービスプリントを繋ぐと、原寸のドーム表面が再現される。今日はチョークやテープでグリッドを引き、番号を振り、あした、その日:OnTheDayの準備をしてキャンプへ戻る。

砂浜に自分たちだけの往復の足跡が交錯するところ、砂浜にカニがいた。どうやら私たちの通った近くに彼の家があったようだ、砂浜を歩く私たちの足が彼の平和を乱してしまったようだ。
カニだけでなく、木々も茂り鳥も多く飛んでいて表面的には何事もない青い空と蒼い海に囲まれた大自然の無人島の光景だが、「危険・立ち入り禁止」の看板が物語るように、見えない何かを感じさせる。ここで繰り返されてきた歴史と事実を知り、目的のコンクリートドームにも対面しているからでもあるが、茂ってはいるが全体に背の低い木々は若さを現すものだし、鳥やカニにはこの核廃棄物の島で世代を重ねてきたという目で見てしまう。もちろん鳥もカニも外見は普通のカニであり鳥である。

ただ、エニウェトクに来て目立つコンクリートの残骸は、人の生活の気配のない無人島のルニットでは違って見えた。
キャンプとドームの間、われわれが往復した砂浜に半分埋もれたコンクリートの残骸。ある文明の残骸のように見えてしまう。
あのチャールトン・ヘストン演じたテイラーが見た砂に埋もれた自由の女神像のように・・・・
聞くところによるとドームの底からは、海へ放射性物質が漏れ出しているという話を聞く。
・・・・・見えない恐怖はつづく・・・・・

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Photo and Text by nnogci