1954年3月1日第五福竜丸が被爆したビキニ事件から50年目のその日2004年3月1日、アメリカ核実験場に住民が戻るために削り取った土や核廃棄物を閉じ込めたコンクリートドーム上で行った中ハシ克シゲ「On The Day 1st March/RUNIT dome」の取材活動の記録. ・・・フクシマの未来か?!・・・by nnogci
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On the Day Project 1st March / RUNIT dome
2006/12/03
No.23 オンザデイ・ルニット:第五福竜丸展示館
この展示館は東京都江東区の夢の島公園の中にある。公園には陸上トラックや体育館など運動施設や研修、合宿の施設はじめ熱帯植物園やマリーナやバーベキュー広場などのレジャー施設もある、ゴミの島:夢の島に作られた公園である。
特にシーズンの週末には多くの家族連れが公園を訪れ、マリーナに留められたヨットなどを眺めながらバーベキューを楽しんだ後、帰り道にある展示館に立ち寄る家族連れも多い。そして、何よりも年間通して多いのは、小中高の生徒、学生の見学が多い展示館だが、Collapsing Histories展の開催される時期は夏休み期間と重なっていた。
マリーナのある北側には広場がある。
そこには久保山愛吉の最後の言葉を刻んだ石碑が建てられている。そして、この石碑の前に敷かれた小石には、来館者のさまざまな言葉が、さまざまなペンで書き込まれている。
誰がいつからはじめたのかは不明だが、小さな石の表面にここを訪れた個人の想いが書かれた大切なメッセージである。
On the Day ProjectやZero Projectなど、中ハシ克シゲの最近の作品は参加型のアートプロジェクトである。
そのコンセプトには、歴史の[つながり]や記憶の[連鎖]がある。
写真を繋ぐ作業には年齢も性別、そして職業も多様な人達が参加し、一つのテーマの元に多彩な経験や知識や記憶が交差し交流する。それによりテーマとその周辺の情報を共有しあおうと言うものだ。 写真を繋ぐ作業は、グリッドごとに行われる。グリッドとは36 枚撮りフィルム1本で撮影される領域である。
そのグリッドは東西に隣り合うグリッドの4つが繋がれ、3mほどの短冊状になる。そしてその短冊36本、合計144グリッドを繋いで行くと高さ(東西)3m、幅(南北)10m余りのルニットドームのコンクリート表面の日の出から日没までの12時間のフォトレリーフが出来上がる。
7秒の時間を記録したプリントを5000枚、合計12時間。夜明けから日没までの、その日その場所の7秒単位のモザイクである。
連続12時間という接写作業の結果は写真に現れている。目や手や足腰の疲れ、痛み、あるいは気力の移ろいなどによって、重ならない、重なり過ぎ、曲がり、あるいは画像が無い、などに現れる。そして太陽の動きと共に、赤道近くの真上の陽を受けてできた中ハシ自身の影も写し込まれていた。
そんな影や隙間や曲がりを残して完成した作品は、展示館の第五福竜丸船体横につくられた大きな壁に貼られた。
全体で見ると明け方から昼、そして夜へのグラデーションだが、部分では縄のれんのように線状の部分や欠けた不完全な部分もある。あの日あの時の彼自身の呼吸や鼓動が写された作品だ。
コンクリートドームの表面を連続的に切り取ったプリントを繋いで再現する、という作業を通して、被写体であるルニットドームはじめ、その作業を見守る第五福竜丸、そして核実験とその時代へと、写真の繋がりとともに、このプロジェクトに参加する個々の経験、体験や知識や歴史について話合われ繋がることが期待される。
記憶や歴史をつなぐ、このプロジェクトにはそんなコンセプトがある。写真を繋いで作品を創る事と共に、繋ぐ作業を通して、参加者の記憶や体験を繋ぎ合う。その交流、制作のプロセス:過程そのものも作品なのである。
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